2025年8月5日、6日の両日、東京ビッグサイトで国内最大級のクラウドカンファレンス「Google Cloud Next Tokyo 25」が開催されました。私たちアゼストも、Silverスポンサーとしてこの祭典に参加しています。
ブース出展と登壇、そして他の様々な企業ブースやセッション参加を通じて、クラウドとAIの未来をご来場の皆様と共有・体感する、実り多き2日間となりました。
本記事では、弊社が登壇した株式会社LIXIL様とのオープンステージの模様を中心に、イベントの様子をお届けします。
熱気に満ちたアゼストブース
今年のNext Tokyoは、生成AIの進化がもたらすビジネス変革の具体例を肌で感じるイベントとなりました。アゼストのブースにも、データ活用やAI導入に関する課題や悩みをお持ちのお客様がひっきりなしに訪れ、当社のエンジニアと熱心な議論を交わしておりました。
「生成AIの機能を業務でどのように活用するか」といったご相談に、私たちがこれまで培ってきた知見をお話しさせていただきました。たまたまふらっと立ち寄ってくださった皆様、興味を持ってブースを訪れてくださった皆様、本当にありがとうございました!
オープンステージ登壇:ピンチをGeminiで逆転した物語
イベント1日目のお昼過ぎ、会場内のオープンステージ/オレンジは満席を超えて、多くの立ち見のお客様で埋め尽くされていました。
スクリーンに映し出されたタイトルは「写真撮影で窓リフォームの提案スピードアップ!LIXIL x Gemini 開発秘話と効果」。当社のエンジニアである湯(タン)が、LIXIL様との挑戦の物語を語り始めました。
阻まれた「3つの壁」- 理想と現実のギャップ
「もし、経験の浅い新人でもベテランと同じ提案ができたら?」「もし、数日かかる提案書が、現場のスマホ写真1枚で一瞬で完成したら?」
LIXILの全国の加盟店が使う業務アプリ「L-ポケット」に、そんな魔法のような機能を実装するにあたり、当初その実現の鍵として見据えていたのは、iPhoneのLiDARセンサーによる3Dスキャン技術でした。
時間の壁:ネイティブアプリ開発に最低でも6ヶ月を要し、市場のスピードに追いつけない。
コストの壁:最新のiPhone Pro(当時約15万円~)が必須となり、全担当者への配布は非現実的。
普及の壁:対応機種はユーザーのわずか1割であり、一部のエリートだけのツールになってしまう。
「プロジェクトは、まさに絶体絶命のピンチでした」――熱のこもったその言葉に、似たような経験を心の中で思い浮かべた方もいたのではないでしょうか。
逆転の一手は「Gemini」
その厚い壁を打ち破る一筋の光となったのが、GoogleのマルチモーダルAI「Gemini」でした。画像とテキストを人間のようにきちんと理解するその能力に、「これだ」と直感したと言います。
複雑なネイティブコードが必須だったLiDAR案に対し、Geminiを活用したアーキテクチャは驚くほどシンプル。結果は劇的でした。
開発期間:6ヶ月 → わずか1ヶ月
専用デバイス費用:15万円 → 0円
ユーザー普及率:1割 → 100%
すべての担当者が、今使っているスマートフォンそのままでAIの力を享受できる――そんな未来への扉が開いた瞬間でした。
技術の先にあった「人の壁」- LIXIL 佐々木氏が語る変革のリアル
技術の壁を突破した先に待っていたのは、より根深く、手強い「人の壁」でした。途中からスピーチのバトンを受け取った株式会社LIXILの佐々木様は、当時の現場のリアルな声を明かします。
「操作が難しいのでは?」「今のやり方に慣れているので不要」「写真で現場調査なんて本当にできるの?」
長年、分厚いカタログと手書きのメモで文化を築いてきた建築業界。そのアナログな文化に根差した抵抗感を変えることは、容易ではありません。佐々木様は、その壁を乗り越えるために実践した「3つのポイント」を語りました。
- 「効率化」という共通言語で語る:「あなたの業務がこれだけ楽になります」と、自分事として捉えられるメリットを具体的に提示。
- スピードとインパクトで他社を圧倒する:「LIXILはAIで未来を創る」という強いメッセージを発信し、業界をリードする姿勢を見せる。
- 百聞は一見にしかずを実践する:PoC(概念実証)を猛スピードで実施し、実際に触れて「体験」してもらう機会を創出。
結果として経験の浅い社員でも、ベテランと同じスピードで提案が出来るようになり、業務効率化に貢献できたと言います。「私たちの挑戦はまだ始まったばかりであり、精度向上に加え、窓以外のトイレやキッチン、エクステリアなど様々な商品への拡大の声も寄せられています。挑戦を技術で力強くサポートいただけるアゼストと共に、これからも努力を続けてまいります」佐々木様はそう締めくくりました。
すべての壁を打ち破るために
セッションの最後に、再びマイクを握った湯は、このLIXIL様との成功体験を基に、アゼストが提供する新たな3つのサービス(プロンプト プロ、エージェント アーキテクト、クラウド ファンデーション)を紹介。そして、力強くこう締めくくりました。
「技術、コスト、そして人。見えない壁は、必ず打ち破れます。その第一歩を、私たちアゼストが全力でサポートします」
このセッションでお伝えしたかったのは、単なる成功事例の紹介ではありません。それは、困難な課題に直面し、理想と現実の狭間で悩み、それでも諦めずにAIと人の力で一緒に未来をこじ開けた「共創の物語」です。
今回のGoogle Cloud Next Tokyo 25を通じて、私たちは改めて、お客様と「伴走」し、ビジネス課題の解決に貢献することの意義を再確認しました。
ご来場いただいた皆様、そして素晴らしい共創の機会をくださったLIXIL様に、心より感謝申し上げます。 アゼストはこれからも、あらゆる壁に挑む皆様と共に進むパートナーであり続けます。
AZEST R&Dチーム