めちゃくちゃ久しぶりにブログを書いております、西田です。
4/15〜4/17の3日間に渡って開催されたTableau Conference 2025に参加してまいりましたので、その内容をレポートしていきたいと思います。
世界中から集まったデータプロフェッショナルやTableauコミュニティの熱気に包まれながら、Tableauが今後どこへ向かうのか、そのビジョンと具体的なイノベーションが次々と発表されました。毎日200ほどのセッションが開催され情報の海に溺れそうになりましたが、ここでは特に印象に残ったポイントに絞ってご紹介します。
1. Tableau Next
今年のTableau Conferenceで最も推されていたプロダクト。それが「Tableau Next」です。
Salesforce内でTableauのようなViz作成、データプリパレーションが可能になり、さらにはAIによる分析も可能な製品で、Salesforce×Tableau×AIのコラボレーションを見て取ることができます。
Databricks、Box、ソーシャルメディアなどのあらゆるデータへの接続、GUIでのデータプリパレーション、洗練されたVizといったTableauの良さをそのままに、AIエージェントとの対話でビジネス施策の分析を行う様子がデモンストレーションされました。
Tableau Nextの目指すところは、AIエージェントがデータ分析のプロセスを積極的に支援し、ユーザーがより簡単に、より深くデータからインサイトを引き出し、アクションにつなげられるようにすることにあります。
きれいでわかりやすいVizを作成することがゴールではなく、そこからどんなアクションにつなげるかが重要。
当たり前のことですが、それを再認識させられました。
2. 数々の新機能
Tableau Nextだけでなく、既存Tableau製品の新機能も数多く発表されました。
ここではその一部をご紹介します。
[Tableau Prepの機能強化]
①データベース内での処理実行
データフローの処理をデータベース内で行うことができるようになります。
今まではPrep内にメモリをすべて引き出して処理を行っていたため、データ量が膨大であったり、クエリが複雑な場合などはPrepの動作が重くなることが多々ありました。
フロー処理がデータベースに移行することで、この問題が改善されることになります。
②Google Driveへの直接パブリッシュ
パブリッシュ先としてGoogle Driveを選べるようになります。
[Viz作成・操作の効率化と表現力向上]
①カスタムカラーパレット
独自のカラーパレットをTableau Desktopで作成可能になります。
これまではオリジナルのカラーパレットを作成するにはマイTableauレポジトリ配下の「Preferences.tps」という設定ファイルにカラーコードを記載していく必要がありましたが、それが不要になります。
生成AIによる色作成もサポートされています。
②角丸
ダッシュボードで丸い角を設定できるようになります。
[管理機能・連携機能の強化]
①アクティビティログの機能強化
Tableau CloudやServerのアクティビティログで、ユーザーのインタラクションイベントを含む詳細な行動をモニタリング可能になります。
ダッシュボード改善のいい材料になりそうです。
②Google Workspaceとの連携強化
Google Sheetsで既存のTableauデータソースを利用したり、ドキュメントやスライドにVizを埋め込んだりできるようになります。
[Devs on Stage Lab]
新しい試みとして、開発のごく初期段階の実験的な3つのプロトタイプが披露されました。
これらは「もし開発されたら」 という前提でのものであり、現時点で実装が約束されたものではありません。
①Authoring Extensions API
APIを用いて様々な作業を自動化できるようになります。
データソース取得とOpenAI連携によるViz提案、ダッシュボードレイアウト自動生成、ダッシュボード自動翻訳などのデモが行われました。
②Tableau Pulse Research Agent
Agent Forceを活用することにより、特定のデータ変化(例: 顧客満足度の上昇)の「理由」を社内データだけでなくマクロ経済データなどの外部情報も含めて調査・分析し、引用やネクストアクションとともに提供してくれます。
③Tableau Sketch
言葉やクエリではなく、手描きでVizの形やデータの傾向をスケッチしてデータをフィルタリングできます。
特にインパクトが大きいと感じたのは①と②です。
これまでTableauユーザー、データアナリストが担っていた役割の多くを代替するものであり、恐怖すら感じます。
3. 今後のAIとの付き合い方について
AIの発達に伴ってこれまでの仕事は代替される。人間は不要になる。
どこか他人事だったこのフレーズが、現実感をもって迫ってくるのを感じています。
そこで、AIを使う側の我々にとって、今後どのようなことが必要になってくるのかを少し考えてみました。
①分析の起点となる「問い」を見つける能力
いまのビジネスを改善するためには何を調査・分析すればいいのか。
それがわかっていなければAIに聞くこともできません。
「ビジネスモデルの理解」と「適切なKPIの設定」を行い、瞬時にボトルネックを見つけ出してAIに問うことができる、という能力が今後重要になってくるように思います。
②データリテラシー、AIリテラシー
「問い」を生み出す土台として、統計や機械学習、AIの最低限の知識は必要になるでしょう。
また、AIの回答を丸呑みにしない批判的思考も忘れてはいけません。
AIが導き出した結果をもとにしてAIが判断する世の中になったとき、歯止めをかけるのは人間の役目です。
③分析の材料となる確かなデータ基盤
AI活用の大前提は、「データが存在する」「データが正確である」ということです。
構造化データ、非構造化データを問わず、利用可能性のある情報をいかに「簡単に」「正確に」収集し、整備することができるかによって、AIの価値も左右されるでしょう。
その意味では、データエンジニアリングの重要性が今後増していき、Databricksをはじめとしたデータプラットフォームへの注目も高まっていくかもしれません。
ざっくりとではありますが、私の考える、AI時代に必要なことは以上になります。ただ、これらもAIの発達によってどんどん変化していくのだと思います。
特に、①についてはAIによって代替されるのも時間の問題でしょう。
今のAIに何ができて何ができないのか、そして今後どのようなことができるようになるのかをキャッチアップし続けていく姿勢こそ、AI時代に本当に必要なことなのかもしれません。